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会長挨拶

東入間医師会会長 関谷 治久

東入間医師会会長 関谷 治久

コロナ禍の一年間を振り返って
東入間医師会会長
関 谷 治 久

 昨年の新年早々(01/04)に「中国で原因不明の肺炎患者」という報道があった。そして、1月15日に武漢からの帰国者の感染が判明し、国内初の感染者として報道された。
 以来、2月のダイヤモンドプリンセス号内の感染が発覚し、新型コロナウイルス は毎日、私たちの話題となった。2月下旬頃からは一気に国内感染拡大が報じられ、3月に入ると東京や大阪で感染者が急増し、下旬には東京五輪・パラリンピックの1年延期が決まった。4月上旬には1日の感染者数としては最多の700人超の感染者が確認され、同月7日には7都府県に緊急事態宣言が発令された。
 わずか2ヶ月間の間に、急拡大する未知のウイルスによる影響は、国民生活の至る所に及び、私たちの日常生活に大きな影を落とした。また、連日、テレビや新聞などのコロナに関する報道に接した私たちは、そのたびに不安に駆り立てられたのではないだろうか。そして、長い不安のトンネルの中にいて、いつ、出口にたどり着けるのだろうか、という不安な気持ちの連続する日々であった。
 そして、国民の皆様方や医療従事者等の懸命な努力により感染者数は一旦、減少したものの、12月に入り全国の感染者数は再び急拡大し、12月末には4,519人となり、今年の1月8日には7,882人と最高の感染者数となって、二度目の緊急事態宣言の発出となってしまった。
 一時は、イギリスの変異株が市中感染し、本来、楽しい時期であるはずの年末年始に感染爆発が起こり、とんでもない新年になるのではないか、と最悪のケースも想定していた。
 でも、日本の国民性というか、諸外国のように都市封鎖もせず、国が発するマスクの着用や三密回避など、最初の緊急事態宣言下で学んだ教訓を活かして、1月末には全国感染者数を2,672人まで大幅に減少させることができた。
 2月下旬からはファイザー社製のワクチン接種が医療従事者に、4月からは地域の高齢者や一般国民への接種が始まる。ワクチンは、コロナウイルスと闘う有効な手立てでもある。この1年間、燎原の火のごとく広がつて行くウイルスを前に闘う術がなく、先の見えない不安な状況の下にあった私たちにとって、新たな局面を迎えることとなる。ワクチン接種に際しては、東入間医師会としても新型コロナウイルス感染者への診療・検査、治療を継続しつつ、国の示すスケジュール通りに進むよう努力して参りたい、と思っている。
 以上述べてきたことは、新型コロナウイルス感染症に対する、この1年間の大きな流れと影響であるが、当医師会管内の富士見市、ふじみ野市及び三芳町の地域住民の皆様方の普段の生活にもにも大きな影響を及ぼしている。
 当医師会の業務は、住民の皆様方の安心の確保の観点から各般にわたっているが、2点に絞ってふれたい。
 第一点は、東入間医師会の新型コロナウィルスへの対応である。
 東入間医師会の管内で最初にコロナウィルスの陽性患者が発生したのが、3月8日の富士見市だった。ふじみ野市、三芳町も、それぞれ同月中に2人、1人が発症し、3月末時点で合計4人の陽性患者が発症した。(20021年1月末までの陽性患者数の推移を末尾に掲載)
 その時に、未知の感染症は一種の災害であると思った。地震や台風と同様に発生は避けられない。備えと早期警戒で被害を小さくできるのではないか。そのためには、情報の共有と連携が大切であると考え、まず、3月17日に臨時理事会を開催し、国や県の情報を共有するとともに医師会の行事の延期や中止を決めた。
 次に、管内での、PCR検査ができる帰国者・接触者外来を担う医療機関の設置だった。ウィルスと闘う武器もない状況下で、なかなか困難を極めた。その過程で、本来、非公表である帰国者・接触者外来に指定された、ふじみの救急クリニック(現在は、「ふじみの救急病院」で以下同じ)の鹿野院長から自院の名を公表しても差し支えない、という朗報を頂戴した。
 早速、朝霞保健所長とも協議し、結果として、「充分な感染防止を行うことができ、通常よりも多くの患者が受診することとなっても診療体制に支障を来さない医療機関である場合は、この限りではない。」(公表可)を適用し、公開することで一致した。これを受け、4月6日付で全会員宛に会長名で、医療機関名を明らかにして発熱患者が来院された場合で必要なときには、ふじみの救急クリニツクに相談するよう通知を発出した。そして、同様の趣旨のことを、富士見市、ふじみ野市及び三芳町の首長と保健センターにも伝達した。
 折しも、この時期は、疑い患者からの相談が保健所に集中して迅速にPCR検査を受検できない状況にあって、市町の保健担当部署にも相談の電話が数多く寄せられていた時期でもあった。
 ふじみの救急クリニツクは、3月26日から帰国者・接触者外来として、保健所を通さずPCR検査を行い、10日間で336人の検査を実施していた。
 そして、この状況を一刻も早く役員、会員に周知すべく、定例理事会を前倒して開催 (04/14)した。この席に鹿野先生をお呼びし、検査の状況、症例、感染防止対策などの説明を受けて役員間での情報共有を図った。
 ちょうど、その頃、国の通知(04/15日付け)で各郡市医師会にPCRセンターを設置するよう、国からの動きかけがあった時期で、県とも協議し、「東入間医師会発熱外来・PCR検査センター」の機能をふじみの救急クリニックに担って頂くこととした。
 「東入間医師会発熱外来・PCR検査センター」の4月から9月末までのPCR検査数は、約17,870件(県内のみ)となり、1カ月あたり約3,000件の検査を行っていただいた。東入間医師会管内の人口は約25万人で、当該管内の住民は、数字的には14人に1人の割合でPCR検査を受けられる医療環境にあった。
 そして、受検者が多く駐車場も手狭であることと、冬期を控え新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行を見据え、従来の検査施設に加え、近隣に1日最大で400件規模のドライブスルー方式の検査施設を設置し、11月16日から運用を開始した。
 このように当医師会管内の発熱患者の診療・PCR検査は、ふじみの救急クリニックを中心にして行って頂いていた。
 また、春以降の診療・PCR検査状況を、管内の首長にも承知して頂く必要があると考え、首長会議(11/10開催)でも説明した。併せて、同席上で、行政が12月から行う65歳以上の無症状の高齢者に対するPCR検査の検査医療機関として、ふじみの救急クリニツクの負担が過重とならないよう、他の「診療・検査医療機関」も加えるよう要請した。
 第二点目は、休日夜間診療所、小児時間外救急診療所の運営の見直しである。
 小児は、令和2年8月17日から当分の間、休日は今年の2月から夜間帯(20:00~22:00)を休診することとした。
 休日は1973年から、小児は2005年から開設し、それぞれ約半世紀、15年間が経過し、その間、管内の医療環境はかなり整備され、土・日曜日に診療する医療機関も多数見受けられるようになっていた。それにつれて患者数も減少傾向にあった状況下、年初からの新型コロナウィルスに追い打ちをかけられたように4月以降の患者数は急減してきた。
 当医師会は、開設当初から医師会主体で診療報酬収入と行政からの財政支援で運営してきており、患者数の減少による診療報酬の減は医師会全体の財政運営に大きな影響を及ぼす。
 初期救急は、本来、行政の事業であることから7月に入って管内の首長に直接お会いして現状をお話した。検討の方向として、補助金の増額、委託への切替え、一定間の休診、廃止の4案を提案したが、時間も限られていたので、当分の間の休診ということで話がまとまった。今後、行政との間で初期救急のあり方も含め二つの診療所の見直しの具体策を検討することとした。
 昨年は、コロナで始まりコロナで暮れた1年だった。今年は、新年早々から、医療従事者や高齢者など国民へのワクチン接種に向けての動きが急である。富士見市、ふじみ野市及び三芳町の基幹病院が中心となり医療従事者への接種体制がほぼ整った。高齢者への接種体制については、4月からの接種に向けて鋭意、行政と地区医師会で協議中である。
 引き続き、行政や東入間医師会会員の皆様方の協力を頂きながら、多くの地域住民の皆様方へのワクチン接種が進み、一刻も早い新型コロナウィルス感染症の収束に向けて伴に努力して参りましょう。

(令和3年2月10日)